エンジン部品のリサイクル

自動車の心臓部であるエンジンは、動力機関であり内燃機関です。
非常に多くの部品から成り立っており、整備や点検に最も神経を使うパーツと言えるかもしれません。自動車のエンジンにはその車種や使用環境、あるいはユーザーのクセなどにより、さまざまな影響が出ることがあります。そうした特長を見た目で確認することは容易ではなく、また、視認で計測できるレベルも限界があるため、自動車のエンジンパーツがそのまま使いまわされる場合というのは、すなわち中古車として売買される場合が大半で、仮に中古のエンジンとして売買される状況があったとしても、そこにはなんの保証もなされないというケースがほとんどとなります。

つまりパーツとしてリサイクルされるエンジンは、そこになんらかの保障を設ける場合、多くは一度分解、オーバーホールを施して、徹底的に整備することが前提となります。こういったエンジンを一般にはリビルトエンジンと呼びます。エンジンそのものの価格は、車種や年式によって大きな開きがありますが、当然新品のエンジンよりもリビルトエンジンのほうが安価である場合がほとんどです。新品よりも安価でありながら、新品と同程度の性能、耐久性が保証されているというのが、リビルトエンジンの売りであり、交換部品としてリサイクルされるエンジンパーツの価値も高まってくるのです。

シュレッダーダストの処理責任 » 03日本の自動車リサイクル

さて、では実際にリビルトエンジンを組み上げる場合、一度オーバーホールして整備し、潤滑油をさして組み上げるだけというわけにはいきません。当然、多くのエンジンパーツは経年劣化を起こしているでしょうし、汚れを落とすだけでは再生させることが出来ないものだってあるでしょう。また、人間に手や眼では見つけられない細かな異変や、金属疲労のようなトラブルに関して言えば、これはやはり機器による測定を行わなければなりません。そのエンジンが持ち込まれた経緯、あるいはそのユーザーの使用状況がこと細かく判明することなど稀でしょうから、リビルトを行う技術者は、さまざまな角度からエンジンパーツを検証し、その使用状況や現在の隠された状態を見抜く必要があるというわけです。

リサイクルの現場から 20

実は単純に考えると、リビルトエンジンを組み上げるプロセスは、新品のエンジンを組み上げることとあまり変わらなくなることもあります。各交換パーツや整備、修理にかかる費用だって、中古品をただ代用するわけではありませんから、それ相応にかかるでしょう。そうしてみると、人件費、材料費、維持費などを含めた場合、リビルトエンジンのコストは新品エンジンのそれと大差ないということになってしまいます。あるいは、大規模工場において大量発注された部品を、オートメーション化されたシステムのなかで効率よく組み上げていく大手自動車メーカーが、その新車のエンジン1機にかけるコストと比較した場合、必ず安くなるとはとても言い切れないでしょう。もちろん、広告宣伝費、権利、手続き、税金などの諸費用が上乗せされることを考えた場合、それは単純比較できないわけですが、エンジンパーツそのものの原材料費よりも、組み立てや整備にかかる人件費や技術者費用が関与することは容易に想像できます。

廃車

今後リビルトエンジンは、ただ新品よりもちょっと安い、逆にそれ以上安ければ何らかの理由がある、といったイメージを払拭するため、新品以上の性能や付加価値、保障期間やアフターケアといったものを補っていかなければならないのかも知れません。ただ、そうした努力は大手企業も当然行っており、採算に見合う性能と安価に引き出すことは、決して容易なことではないといえる点が、この問題の難しいところでもあるのです。